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2006年3月12日 (日)

NIRVANA 「FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH」

From the Muddy Banks of the Wishkah

LAST DAYS」がもうすぐ公開されますね。

NIRVANAの魅力は奥が深い。カート・コバーンの人生があまりにも深いせいでしょうか?僕は、カートに関する著書を読んだことがないので、彼の人生について端的にしか知りません。(例え読んでいたところで、端的にしか知り得ないのですが、熱心なファンと比較してという意味です。)でも、彼に惹きつけられるのは、この一言で十分でした。

パパはママが大嫌い。ママはパパが大嫌い。それがただ悲しい。

少年期に彼が自分の部屋に殴り書きしていた言葉だそうです。この言葉を読んだ時、どうしようもなく悲しくなりました。当時の僕は二十歳で、両親が離婚の協定中でした。決して僕は自身の家庭環境を悲観していた訳ではないのですが、どこか自分の心情とリンクする部分があったのでしょう。世界に同じような悲しみを抱いている子ども達がどれくらいいるのだろう。そう思いました。

僕がNIRVANAを初めて聴いたのは、「NEVERMIND」でした。カートの死後、数年経った頃です。さっきの雑誌の記事を読む前だったか、後だったかは、覚えていませんが、時期的には同じ頃です。正直、あまり好きにはなりませんでした。NIRVANAというと、暗い、重いといったダウナーなイメージを持っていて、それを期待していたせいもあるのでしょうか。RADIOHEADの「OK COMPUTER」をよく聴いていた時期なので、むしろポップに聴こえて期待外れに感じました。(それが、プロデューサー、エンジニアの意図なサウンド・プロダクションによるもので、この意図があったからこそグランジというムーブメントが生まれたことについては、ずっと後になってから知りました。)ですが、前述の言葉のせいか、カート・コバーンへの興味は消えませんでした。

そして、数年が経ち、NIRVANAの初のベストがリリースされ、未発表曲であった、カート・コバーン最後のレコーディング曲「You Know You're Right」を耳にした時に、初めて心からNIRVANAの曲に溺れました。僕の中ではNIRVANAのベストソングです。僕が本当にNIRVANAを聴くようになったのは、この頃からです。

FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH」は、NIRVANAを知る上で最も重要なアルバムだと思います。何故ならば、NIRVANAにおいて、唯一正当なライブアルバムであり、カート・コバーンの素の輝きがここに収められているから。彼が最も輝いている姿が。彼らの代表作と言えば、当然「NEVERMIND」ですが、この作品が僕はいまだにあまり好きではありません。それは、単純に個人的な好みの問題もありますが、当時の彼らにとっても不本意であったというポップな聴き易いサウンド・プロダクションのためだと思います。さっき軽く触れたように、このサウンド・プロダクションがあってこそのグランジであったことは事実であり、最終的には、彼らもこのサウンド・プロダクションを支持しています。ただ、やはりNIRVANAの「本質」を表現している作品ではないような気がします。その点において、「FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH」は、(多少、ミキシングが施されているとは言え、)より生身の彼らに触れることが出来る作品であり、そう言った意味で、彼らの「本質」がここにある。INTROでのカートの叫びは、彼の原点ではないでしょうか。

冒頭に書きましたが、もうすぐ「LAST DAYS」という映画が公開されます。彼が亡くなる直前の2日間をモデルに描かれた映画です。彼の死は自殺とされています。成功により巨大化したNIRVANAの存在と自身のためのNIRVANAが乖離してしまい、それが精神を蝕んでいったと、どこかに書いていました。成功したバンド(特にそのフロントマン)が、巨大化したバンドのイメージと自身のバンドのイメージとの乖離に悩むことはよくあるようですが、ほとんどは何とか乗り越えられるものです。自殺であるということとその動機を前述のものであることを前提にすると、それにより、結果的に死に向かうしかなかった彼を思うと切なくてなりません。

余談ですが、当時の彼は27歳、今の僕も27歳。年齢だけが追いついてしまいました。

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